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論文2本目

私が京都でやっていて、後輩に引き継がれたプロジェクトがようやく形になったようだ。引き継いだのは4年前か。私は、プロジェクトの立ち上げとして基になる実験手法を確立させた。その後、その手法を用いてスクリーニングをして更なる解析を行ったのは後輩さんと先生。大変だったろうに形になって本当に良かったなと思う。これが私の名前が入った2つ目の論文になるのだけど、次は、自分でプロジェクトの最初から最後まで担って、筆頭著者 (著者リストの最初に名前が載る人、1番論文作成に貢献した人) になりたいな。 Wen, J., Sai, K., Masutani, S.  et al.  Filamin–ETV4/5 acts as mechanosensor–mechanotransducer axis that drives cell competition-mediated elimination of transformed cells.  Nat Commun  (2026). https://doi.org/10.1038/s41467-026-73504-3 https://www.nature.com/articles/s41467-026-73504-3 簡単な概要を。ラボの大きなテーマは細胞競合。変異の入ったがん細胞が生じた時、周りの正常な細胞がそれを検知、排除しようと動くことがある。ここで正常細胞がどのように検知しているのかまだ不明な点が多い。私たちは正常な細胞とがん細胞を同じ入れ物で培養する方法で研究しているが、がん細胞の隣に接する正常細胞と、接していない離れた場所にある正常細胞を厳密に区別してスクリーニングすることは難しく、がん細胞の検知に関わる因子を見つけることを困難にしていた。しかし近年、他グループよりsynNotchという、2種類の細胞が隣接する時のみ発現スイッチを入れられる遺伝学的テクニックが開発された。そこで共同研究により、がん細胞に隣接した正常細胞のみが赤色の蛍光タンパク質を発現するマーキングシステムを作成。このシステムを用いて、がん細胞に隣接した正常細胞のみをターゲットにスクリーニングを行い、Filamin-ETV4/5-PRKG2という因子たちが関わっていることを発見した。私たちの系で 使うがん変異RasV12は、...

ラボ選択

3つのラボでのローテーションが終わり、とうとう卒業研究を行うラボを選んだ。正直、この3ヶ月悩み続け、ストレスによる胃腸への負担を感じ続けた。一度ラボ選びに失敗している過去があるというのもあるが、ありがたいことに全て良いラボだったので、合わないラボを切り捨てるということが出来ずに苦労した。行き場のなくなった私を雇ってくれて、かつ憧れのハエ×がん研究をしているラボ1、全く関わりのない分野にも関わらず、環境が良く2ヶ月間ローテーションをしているうちにどんどんハマってしまった大腸菌ラボ2、仕事できる人が多くオフィス風環境の良さを備えたトランスポゾンラボ3。正直、ラボ1と2で至極悩み、色んな人に相談した。その結果、ラボ2を選ぶことに決めた。とある方に、「博士は研究テーマより研究をする、ということ自体が大事なので、朝起きて仕事場に行くのが楽しみだなと思えるラボを選ぶといいですよ」と言われて、しっくりきた。それでいうとラボ2だなと。アメリカに来て初めて、誰かの紹介により入るラボではなく自分で切り拓いて見つけた居場所となる。昨日、ラボ1の先生に引き裂かれる思いで正直に自分の選択を伝えたが、ありがたいことにI'm happy for you and your career.と優しい言葉をかけてもらった。まだ後ろ髪を引かれる気持ちはあるけれど、選んだからには、腹を括ってなんとかラボ2で頑張ろうと思う。今日ラボ2の先生に挨拶しに行ったら、先生からたくさんの実験アイディアが出てきて、ちょっと圧倒された。これはモチベーション上がりそう。

地獄の学期末

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いよいよPhD1年目が終わろうとしている。昨日今日の2日間は私にとってはクライマックスだった。前学期に比べて、ラボ選びのストレスと、慣れない生理学の授業、量が3倍に増えたTA作業が積み重なって、なんとなく時間をかけて疲れてきている気はしていた。その中でもこの2日はピーク来てました。やばかった。昨日は、3つ目最後のラボローテーションでの成果発表があった。ここ最近プレゼンは自分の得意分野、と思って油断していたけれど、ここのラボの人はものすごく細部まで意識を向ける風潮がある。よく考えているというか。研究者は考えることが仕事なので、とても素晴らしいことだと思う。正しい。だが、それはそれとして発表者としては怖さもあった。この分野の初心者がエキスパートに発表するわけだし、こういう時の向こうの指摘の仕方も普段の優しい感じからギャップがあるものだから怖さ倍増してたし。少しの隙も与えまいと気を張った。そんなにスライド枚数は多くなかったと思っていたけれど、質疑応答も長く、発表は全部で2時間かかった。スライド作りは褒めてもらえて嬉しかったけれど、質問に答えられない部分もあり準備不足だったなと1人で後から反省。最近は優しい人相手のプレゼンが多かったから、久々にintense/きつめなのに触れたのはいい刺激としてよかったのかなあ。ストレスだったけど、必要なストレスであった気もする。そしてそのプレゼンでくたくたになった後に、生理学の期末試験勉強を再開し、今日受けてきた。肺やらホルモンやら生殖器やらについて、日本語でも何言ってるかわからないのを英語でとなると本当に難しく感じる。一応興味が薄いなりに頑張って勉強したんですが、落第の瀬戸際なので、微妙なところ。 だがともかく、この2つの壁を乗り越えたので、ものすごく気が緩んだ。落ち着いてから部屋を片付けたり、生活を豊かにして休みたい。今学期終了まであともう少し軽めの課題が続くので、気を抜くな自分、と言い聞かせつつ、今はkindleで小説爆買いして読んでるところ。この期間、やけにまた抹茶を飲んだ気がするけれど、あまり記憶に残っていない...余裕なかったな。

Workshop

そういえば、先週末はちょっとだけ嬉しいことがあった。私たちの必修科目の一つに、workshopというクラスがある。これは毎学期あるのだが、要するにJournal club (雑誌会)。論文紹介の授業である。プレゼン力を高める目的、論文を批判的に読む目的があるらしい。先週は私ともう1人が所属するグループが発表した。正直、直前のスケジュール変更や、別の授業の試験やラボでのことがあり全然準備時間は取れないし、論文は別の人が選んだので全然詳しく知らない心臓の分野だったし、量がすこぶる多い論文だったしでもう無理だと思った。なんとか自分なりに読み解き、スライドにまとめて発表したのだが、終了後に発表を聞いた同級生たちから(アメリカ人である!)、あなたの話し方好きだよ、良い発表だったと褒めてもらった。これまで、スライド作りは得意なので、そこを褒めてもらうことはあったけど、話すのは得意ではないので、自分では改善の余地アリな部分だなと思っていた。正直、結構嬉しかったので数日経った今でも思い出して微笑むことができます。諸々の授業のテストが終わって一息ついたとはいえ、気を引き締めてもう少し今学期頑張ろう。

St. Patrick

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St. Patrick Dayというアイルランドの祝日があるらしい。緑色の小物を着る日だとか。複数の場所で数週にわたってパレードが行われているのだが、同世代のお友達にお誘いいただき、シャルメットという街でのものに参加した。マルディグラのパレードと違い今回はビーズだけではなく、野菜が投げられていた。お芋やレモン、大きいものだとキャベツやパイナップルなんかも飛んでいた。タダで野菜がもらえるのは嬉しいが、割と硬くて重いものが飛び交っていて、なかなかに危ないのでは、と思った。にしても、本当にルイジアナの人はパレード好きだねえ。  

3rd lab, ランチ

というわけで3つ目のラボでのローテーションスタート。これまた別の良さがあり、なかなかにラボ選びの決断を困難にさせている。日々そのストレスと闘いつつ、ここではレトロトランスポゾンについて研究している。特に、RNAseqを用いて検出するので、コンピューターを使ってのドライ解析については、これまでに習っていなかった分野なので学べてありがたいところ。そしてここで特筆すべきは、ラボメンバー間の仲の良さではないだろうか。卒業発表をした先輩学生に対する先生Vのコメントは心を打つものがあったし、しょっちゅう皆でランチを一緒に食べている。そして最近のランチでは、そのラボのメンバーと、同じ建物の別のラボで長く働くおばさま方と一緒に摂っていて、何とも話を聞いているだけで元気が出る。どの方もよく働き明るくたくましいのは、人生経験が成すものなのか。あのブレなさというか、安心安定感みたいな魅力、そしてハキハキと子育てや家事について語る姿を見ては、2-30年経てば自分もこうなれる日が来るのか...?と首を傾げつつ、日々の生活に彩りをもらっている。

息抜き

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2週間前はローテーションの境目だったので午後はお休み、午前中の授業だけ受けていた。午後休にワクワクしていたのだが、結局TAとしての採点業務だったり、レポートをまとめたりして、なかなか遊ぶ時間は取れなかった。ただ、週末はゆっくりしようと久しぶりにミニドライブ旅。 以前 訪れた海の見えるカフェに行ってきた。席について景色を見ながらラテとマフィンを口にした途端、私にはこれが必要だったのだと実感した。隣に座っていたご夫婦との雑談も楽しかったし、カフェに置いてある本が素敵だったので、私もその後本を買いに行ったし。心の豊かさを回復するいい時間を過ごせた。さらに、別日にはルームメイトと古着屋を巡ったし、良い休みだった。